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祝福の天使誕生

 

1)礼拝として祝福される結婚式

 通常、品川教会での結婚式は土曜日におこなわれます。日曜日の主日礼拝をひかえて、広々とした空間の礼拝堂を、結婚式のために飾ったり演出することは実は初めての試みでした。
 結婚式場のキリスト教式の挙式とは少しちがって、結婚生活をスタートされるお二人に教会が大切にしていることは、神さまの前での結婚ということです。それはクリスチャンであっても一般の方の結婚式であっても同じで、神さまに祝福され、讃美をささげる礼拝としての結婚式なのです。華美に式を飾るのではなく、心から神さまの祝福を受けるにふさわしい装いが求められました。

教会の結婚式

2)清楚なリボンをどのように飾るのか

 清楚なシルクで結びあげたリボンの試作は早くに出来上がりましたが、それを結婚式にふさわしいカタチで礼拝堂のピュー(礼拝席のベンチのこと)にどうやって飾り付けるのかが、実は試行錯誤の連続でした。スタンドを立てたり、ちょっとした小さな取り付け用の器具であったりしても、結婚式そのものをそこなわないように、さらに礼拝堂の雰囲気を考えることも大切なことでした。
 そして翌日曜日のためにすばやく元の礼拝堂に戻すことも求められました。検討したのは小さな金属製の十字架や鳩、オリーブの枝葉などを作ってピューに取り付け、それにリボンとテープを掛けるというものでした。

リボン飾りの思案

十字架とリボン

▲大きなシルクのリボンと3本のテープを使って礼拝堂で試行錯誤。

▲右は小さな十字架のダミーを作ってリボンとテープを掛けてみた。

3)陶の人形とマグネットにたどり着く

 なかなか思うような飾り付けにたどり着けない時、教会員のひとりが趣味で製作していた陶製の小さな人形「祈る人」が眼に止まりました。
 金具のようなものではなく、小さな陶製の天使の人形を作って、それにリボンを掛けることができれば、教会の礼拝堂にもふさわしく、結婚式の飾りとしても喜ばれるものになると考えました。陶人形をピューに取り付けるには、小さな鋲をあらかじめピューに打ち込んでおき、底にマグネットを埋め込んだ陶人形であれば自由に取り外しもでき、また普段の礼拝堂でもほとんど気づかないことも分かりました。

陶人形「祈る人」◀︎「祈る人」

礼拝堂に鋲打ち

▲礼拝堂のピューにいろいろな鋲を置いてみて見栄えをテスト。

4)天使のオリジナル陶人形

 教会がオリジナルで陶人形を製作できるのか迷いましたが、知り合いを通じて、協力してくださる陶芸作家に相談できました。花嫁が礼拝堂を進む時に飾るリボンに天使の人形が必要であること、教会の礼拝堂にふさわしい雰囲気であること、などなど細かい注文もお願いしました。
 後で知ったことですが、この山梨の陶芸作家の方(美術教室「アトリエたんざわ」を主宰している丹澤睦子さん)はクリスチャンで、お願いした20体の天使の人形は、お祈りしていたり、聖書を手にしていたり、讃美したり、百合の花(復活のしるし)を持っていたり、ラッパを吹いていたり、と、ひとつひとつが皆それぞれ、仕草や造形が異なり、それでいて教会的、聖書的な雰囲気をかもしだしているものを考えてくださいました。

天使の人形試作品◀︎天使の人形「試作2点」

表情リスト

▲教会の結婚式にふさわしい天使として、手にするものや仕草のリスト。

5)製作から、素焼き、本焼きを経て

 陶人形は陶芸作家の意向で「陶製」と「磁器製」を20体ずつ製作することになりました。これは仕草や表情の違う、小さな陶人形の仕上がりやディテールを考えた時、製作後、素焼きに進み、釉薬を施してから実に17時間もの本焼き工程があり、あとは最後の窯出しをする時まで、開いてみなければ出来上がりが予想できない、陶芸の不思議な世界が待ち構えているからです。
 また乾燥後マグネット取り付けのための窪みを、人形の底にそれぞれ直径10mm、深さ5mmほど彫り込みました。最後に「陶製」と「磁器製」にはそれぞれ違った釉薬を施し、仕上がりの時を待つことにしました。

陶人形の制作風景

▲ハンドベルを手にする天使の細かい作業。底にはマグネットを取り付ける窪みを。

陶製と磁器製の天使

▲左:陶製、右:磁器製(本焼きすると真っ白になるらしい)※乾燥途中

素焼きの窯出し

▲柔らかい色合いの素焼きの天使の窯出し。このあと釉薬を施して本焼き工程へ。

6)「陶製」の素朴な色合いを選んで

 「磁器製」の仕上がりは白さが凛としていて、キラキラ輝いていました。また「陶製」はナチュラルの色合いで素朴さのある表情が何とも可愛らしく、ずっと眺めていたい雰囲気がありました。
 悩んだ末、教会の結婚式としては「陶製」の人形を選んで、あとはマグネットを埋め込み接着する作業を1体ごとにおこなうと完成となります。秋に始めた製作が翌年の春先、イースターも間近にせまっていました。

磁器製と陶器製の天使

▲左:磁器製、右:陶製(柔らかい雰囲気が礼拝堂の色合いとも調和する感じ)

マグネット

▲小さくても強力なマグネットを人形の底に接着。

7)「祝福の天使」と名付けて

 礼拝堂に20体の人形を持ち込んで、リボン飾りの大きさや形と、それを連続して繋ぐテープの素材を選ぶことなど最後の仕上げ作業を行いながら、この陶人形は「祝福の天使」と名付けられました。
 結婚式で奉仕する教会員にとって大切なことはやはり、最初の願いの原点に立ち返り「祝福に満ちた結婚式」を挙式されるお二人に伝えたい、ということでした。それはいつまでも「教会の結婚式」が心の中に宿り「良い夫婦」としての結婚生活を歩んでいただきたいということでもあり、この小さな企画もそんな願いのひとつだったからです。

天使と礼拝堂

▲リボンと3本のテープの上に可愛らしく「祝福の天使」

オーガンジーと天使

▲最終的にはリボンを繋ぐテープは白のオーガンジーに素材変更。

 

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